ふるさと納税の未来
最近、「ふるさと納税」について返礼品が過剰である旨の報道が多数なされています。総務省も現状を鑑み、返礼品の寄付に対する比率を30%程度に抑えるように各自治体に通達を出しました。金券や土地、高額な電化製品といった返礼品が批判の対象となってきました。
マスコミが「ふるさと納税」を批判する場合に多く引き合いに出されるのが、返礼品をネットオークション等で売却し換金する者が存在するという事です。この様な行為がそんなに多発しているとまでは思わないのですが、何だか過熱報道気味だなという印象です。確かに地元名産ではない、全く無関係の家電製品等の返戻品は甚だ疑問を感じます。また、金持ち優遇だという論調が強くあります。
一方で、子供手当を支給する名目で年少扶養控除が廃止され所得控除は減少し、個人の所得税住民税負担は年々増大しています。また、ここ数年で、サラリーマンに対する給与所得控除の上限設定、消費税増税等により給与所得者の税負担はかなり増加している状況です。所得税率も最高税率の引上げが行われています。そう言った部分も加味すると、「ふるさと納税」による恩恵は、大きなものとは言えないのではないでしょうか。
「ふるさと納税」は地方の特産品を生産している業者にとっては、全国に商品アピールする非常に良い機会だと思います。この業者さん達の売上が増加することで、消費税や法人税等の税収も増加しているでしょう。税金の再配分方法としては非常に効果があり、一つの経済循環を生み出しているといっても良いと思います。
日本は欧米と比して「寄附」の文化が遅れていると言われています。「形に入って、心に至る」ではないのですが、「ふるさと納税」という制度を通じて「寄附」の文化が身近になった様な気もします。現実的に、被災地である熊本や東北地方へのふるさと納税寄付者には、返礼品を辞退する方も多いとのことです。
「ふるさと納税」の是非については、極論ですが税金をしっかり納めた人へのご褒美の様な意味合いで割り切っても良いのではと思います。納税をしっかりとした人に認められた唯一の権利として考えると、納税意識の向上にもつながるのではと思ったりもします。「ふるさと納税」は、過度な返礼品は自粛すべき部分もありますが、あまり規制を掛けすぎるのではなく、日本オリジナルの寄付の文化として長い目で育てていっても良いのではないでしょうか。