今月の1冊「ファイナンス思考」
この本の表紙には、「日本にアマゾンが生まれない理由は目先の売上・利益にとらわれる「PL脳」にあった」と書かれています。
「PL脳」とは、売上や利益といったPL上の指標を、年度ごとなど短期間における数値の最大化を経営の目的とした調整的な発想です。
経済が低成長、かつテクノロジーの急激な変化がおこる不確実性の高い環境下では、この「PL脳」における発想では縮小均衡型の衰退サイクルに入ってしまうと、著者は警鐘を鳴らしています。
この本では「企業経営において本質的に重要なことは、事業価値を向上すること」と繰り返し主張されています。
「ファイナンス思考」とは会社の企業価値を最大化するための発想であり、将来に稼ぐと期待できるお金の総額を最大化しようとする発想です。
世界を牽引する米国の「GAFA」も、ファイナンス思考の観点からみると、短期的なPLの毀損をいとわず、投資の目線が長期的で未来志向である点が共通しています。
アマゾンが赤字であるにも関わらず、毎期大規模な設備投資を行っているのは有名な話です。
高度経済成長期のような、将来のビジネス環境が予測できる可能性の高い時代はもう来ません。
思いもよらぬ企業、サービスが自分たちの競合となる時代です。そしてそのサイクルはますます短くなっています。
外部環境の変化に瞬時に対応できるよう、経営者だけでなく、そこで働く従業員も長期的な視点、発想を持たなくてはなりません。