第79回「業務の終わりの姿を明確にする」
より効果的・効率的な仕事の仕方を実現する方法を身に付けた〝段取りの達人〟になるための第一の要件は、「業務発生時点で業務の終わりの姿を明確にする」ことです。
ドイツの心理学者、ヘルマン・エビングハウスの実験によれば、人は、20分後に42%、1時間後に56%、1日後には74%忘れてしまうのだそうです。
これは意味のない3つのアルファベットの羅列による実験とのことですので、意味のある物事であれば、もう少し記憶される確率は高まるのかもしれません。
しかし大切なのは、「人間は忘れる生き物である」という事実です。
そうであるならば、「後から考える」こと自体が、効果的・効率的な仕事の実現を阻害する最大の要因と認識する必要があります。
よって、〝段取りの達人〟になるためにはまず、業務発生時点で段取りすることが欠かすことができない要件といえます。
また、段取りにあたって最も重要なことは、業務の終わりの姿(最終完成物)を明確にすることです。
すなわち、「何ができたらその業務が終わったといえるのか」を明確にしてから業務を始める、という姿勢こそが大切なのです。
お客様からのご依頼・ご要望、所長や上司からの指示・命令、同僚・部下からの問い合わせ・頼まれごとなどといった、日常的に発生する突発的な業務に対しても必要です。
このような標準化されていない業務が発生した場合は、発生段階で直ぐに「何ができたら業務が終わったといえるのか」を明確にする習慣を身に付けなければなりません。
そのゴールが明確で無駄のないものであれば、間違いなく効率的な業務を実現することができるでしょう。
逆にそのゴールがあいまい、ないしは無駄なものが含まれているようであれば、その後どれほど効率よく仕事をしようとしたとしても、その実現は困難なものといえます。
〝段取りの達人〟になるためには、業務発生時点で業務の終わりの姿を明確にすることこそが大切なのです。